前:濤川栄太の著作・CD一覧(抜粋)

遺志を継ぐ

 当初は何とか塾を継続していきたいと考えておりましたが、残念ながら、どう考えても塾長のいない「濤川平成塾」では、塾生の皆様の期待にお応えすることは無理という結論になりました。

 濤川栄太塾長という個性的なカラー、人間力、知識、世界観、最先端情報など、毎回、国内・国際情勢を鑑みて体系的に総括し、提供することはとうていできません。

 

 そこで、塾長の最終的な取り組であった「地球環境問題」について、何ができるのか、何をしなくてはならないのか、情報収集をしておりましたところ、日本の重要な水源地である奥山が売りに出されており、海外の資本に狙われているという、一度塾でも話題に上ったことのある課題ですが、その後、それを確保して保全しようと活動している会の存在を知りました。早速、会の中心者のお話を聞きに参りました。

 

 それは「NPO法人 奥山保全トラスト」という会であり、2006年発足から昨年2009年までに、日本の奥山の10か所を抑え、保全し、自然林に復元する活動をしているという確かな実績をもっている会です。そして今年中が期限である、11番目のトラスト地・三重県大台町の確保に向けて奮闘している最中でした。

そのチラシを私たちは、入手していたのです。

 

 その奥山も見に行って参りました。山の地主さんのお話も伺ってきました。そして、その地のトラストの為に情熱的・献身的に活動されている地元の方のお話もお聞きし、一つの事を成就する為には、多くの方々の

様々な困難を乗り越えながらの、切実なる想いの結集によるものであると感動しました。

 日本の心ある方々の思いが結集すれば、日本の全土の奥山を保全することが出来るかも知れない!今なら、きっと間に合う!との思いを強く致しました。

 

トラストの確保は、皆様の一人ひとりの善意の寄付によって行われています。22年7月の時点で、あと6分の1を集めれば、というところまで来ているそうです。あと、ひと踏ん張りです。

 

様々な重要な運動をしている会はそれこそたくさんありますが、今、水源地の森を失ってしまえば、もう後からでは取り返しのつかないことになってしまう、との見解から第一の優先事項ではないのかと判断致し、出来る限りの活動をして行こうということになりました。

 

その「NPO法人 奥山保全トラスト」の上部組織として、「日本熊森協会」という18年の歴史をもつ任意の団体があり、森山まり子さんという、元中学校の生物の教師をしていらした方が会長を務めています。熊が住める森が、動・植物ほか全ての生物が生きられ、水の湧く森ということで、熊を会のシンボル・象徴としています。今全国的に、森が枯れ、食べ物がなくなり、動物たちが里に下りてきてしまい、猟銃で撃たれ、絶滅の危機に瀕しています。

 

人間が生き残るためには、他の生物と共生して生きていかなくては生きられない存在であることを、私達は思い出さなくてはなりません。本来的には、「動物が可哀そう」「地球に優しく」…という次元ではないのでしょう。何かの為にという他人事のような言葉に油断してはなりません。そうしなければ、人間の生存自体が危うい、死活問題であり、自分自身の課題であることをシビアに認識することが必要です。

 

それでもまだ日本は、多種多様な生物の宝庫です。みんなの力を合わせて、地球・人類にとっての砦、モデル国になっていきたいものです。

 

 以下に、簡単ですが「日本熊森協会」「NPO法人 奥山保全トラスト」の概要をまとめてみました。

詳しくは「日本熊森協会」本部にお問合わせ頂くか、ホームページをご覧下さい。

                             

 

奥山保全・復元のための実践自然保護団体  日本熊森協会とは

本部 〒662-0042 兵庫県西宮市分銅町1−4

   TEL : 0798-22-4190   FAX : 0798-22-4796

      URL : http://homepage2.nifty.com/kumamori

      会員数24000人 本部兵庫県 19府県に支部

   会長 森山まり子  設立 1997年

 

 くまもり理念「森を残し、全生物と共存しなければ、人間も生存できない」

〈なぜ「熊森」なのか?〉

クマが住める森「熊森」は、全生物が生きられる森。

・クマのいる森は、他の動物・植物すべてが生存できる森。クマは豊かな森の象徴です。

 その森は、保水力が高く、全生物の命と全産業を支える水がこんこんと湧き出しています。

・その涌き水は数十年前に降った雨水が湧き出してきたもので、ミネラル分を多量に含んだ滋養豊かな水です。

 この水を田畑に引き込めば、肥料がなくとも農産物はよく育ちます。

・自然の森は、人間が手を入れずとも維持できます(むしろ入れてはいけない)。巨木は寿命で倒れ、新しくできた空間から林床に光が射し、そこからまた無数の新しい命が誕生する自然のメカニズムで回っています。

・野生動物たちは、一日中森の中で食べていますが、食べても食べても、次々と食べ物が誕生してくる森です。

・山崩れなどの災害も起きにくく、動物たちが森の中で幸せに暮し、里へ出て来ることはありません。

 

〈森と林はどうちがう?〉

森とは、人間が手を入れていない処。クマ以下全生物が生きられるところ。

林とは、人間が何らかの目的で木を植えてつくった処。

・日本の国土の67%が森林といわれますが、60%が林にされてしまい、残された森はわずか7%だけです。

 

・杉や桧の行き過ぎた植林(人工林)の実態。

針葉樹である杉や桧を密植し、手入れがされていない山は、一年中ほとんど林内に陽が射しません。

その為、下草が生えず、茶色の土壌がむき出しになっています。まるで茶色の砂漠です。

 野生動物は食料もねぐらも失い、住むことが出来ません。

 保水力も低く、山は乾き、涌き水も涸れていきます。

 山崩れや風害も起きやすく、洪水の心配もしなければなりません。

 外国から安い建材が入ってきた為、国産林業が成り立たず、人々の関心は山から離れています。

 戦後の拡大造林によって一斉に植えられた杉、桧の単一造林地が放置されて荒廃し、延々と広がっています。

 

 山の――実りの凶作年には、生息地を失った野生動物たちは食べ物を求めて、命がけで里に下りていきます。

 里に出てきたクマ、サル、シカ、イノシシなどの多くは、「害獣」として撃ち殺されています。

 2004〜8年の4年間でツキノワグマは全国推定生息数の9割が殺されたとみられ、絶滅寸前です。

 クマは、クマノイが漢方薬として高く売れ、うまくいけば、一頭100万円の収入になると言われています。

 クマは冬眠中の半年間、水一滴飲まず、母グマはその間出産し子グマに乳を与える為、秋は食い込みに必死です。

 野生動物たちを守る為にも、水源域保全、災害防止にも、奥山を守る必要があり、保全する事が急務です。

 

植物+動物=森  野生動物がいなくては豊かな森は成立しません。

〈昔の日本は〉

・野生鳥獣と人間が、奥山・里山・里と生物界の掟である「棲み分け」を実地して共存していました。

・中国地方では棲み分けラインは標高800mでした。

 奥山は野生の鳥獣の聖域として、人間は入りませんでした。

 里山は野生鳥獣も人間も利用して、人間は里に住んでいました。

・クマ止め林として集落の外に柿の木や栗の木をたくさん植えて、奥山の実り大凶作の年でも、クマが集落に入ってこないようにするなど、人々は共存のためのさまざまな工夫をしていました。

 

〈杉、桧ばかりの山が、野生動物の住める森に蘇る!〉

・杉ばかりの放置人工林を、動物の住める広葉樹林に蘇らせることに挑戦しています!

・杉の人工林を6割間伐すると、林内にすぐに下草が生えだし、虫が帰ってきます。そのうち、自然に実生の広葉樹が育ちだし、2年後にはウサギが戻り、4年後にはシカが戻ってきました!

 

 

〈今、奥山の森が、企業や外国資本の手に渡ろうとしています!〉

今、私達日本人の飲み水を支えている奥山の水源地が、企業や外国資本の手に渡ろうとしています!

 

・奥山の森は、私達が毎日飲んでいる大事な水の「水源地」なのです!

・世界中で淡水の奪い合いになってきており、それを目論んでの「水メジャー」の動きがあります。

・大切な水源地である奥地の山は、大変安価に売買されており、大規模資本による独占が心配されます。

・先端産業にも、大量のきれいな水が必要です。

・奥山の広葉樹の巨木は大金になるということで業者が入り、どんどん切り出しています。

 

NPO法人 奥山保全トラスト TEL 0798-22-3017

日本熊森協会を母体として、奥地に残された大切な原生林を、民の力で、ナショナル・トラスト(買い取って、手つかずで永久保全)しよう!と、2006年設立されました。

これまで、奥山保全トラストが買い取った奥山は、12カ所目、三重県大台町池ノ谷を含めて、1944ヘクタール。


 

日本は、全国至る所に大型野生動物(クマ、イノシシ、シカ、サル等)の住む森を残した、奇跡の国。

世界に、森や動物の残し方を伝える使命のある国です。

 

今や、大多数の人々は都市に住んでいます。日本の森を守るのは、都市に住むわたしたちの使命です。

今、放置人工林や奥山の皮むき間伐、枝払い、竹炭を焼き奥山に竹炭を撒いて、動物の棲める森に復元する活動をしています。詳しくは、本部・関東支部までお問い合わせください。

奥山の保全・復元と奥山原生林トラストを、日本全国で展開していきたいのです!!

マザー・テレサ「愛は言葉ではなく、行動である」。 どうか、皆さまご協力ください。

 

☆トラスト寄付金の集まり状況は、日本熊森協会のホームページで週1回ずつ更新され、公開されています。

 

    作成:日本熊森協会 NO.23040寄付会員   稲里玖実子H22年8月現在)

 

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