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<濤川平成塾について>

 

 日本国はまさに危機の中にある。表面的な華やかさや薄っぺらな繁栄に目を惑わされ、本当の国家の姿、日本という国の芯棒を見忘れてはいけない。

 日本からのODA資金援助を多額に長期間受け取りながら核搭載ミサイルの筒先をわが国に向けている中国。日本国民の多数に拉致というテロ行為をなし、「東京を火の海にする!」と恫喝する北朝鮮。これらのマンガにすらならない事実をまかり通させてしまっているこの国。そこに国家としての一握りの威厳や名誉、矜持は存在するのか。

 「諸国民の公正と信義に信頼して」と日本国憲法に明記されるが、この話が何と国家安全保障の問題に関してなのだ。たしかに他国民の良心を信じることは大切にちがいないが、その他国が一片の良心や善意を持たず悪意と敵意にこり固まる時、それを見て見ぬふりをすることは決して許されまい。自国民の生命と安全と財産を守ることは国家存立の第一条件ともいっていい。その一点さえ崩落してしまっているのが、今の日本といっていい。

 グローバリゼーションの中で日本が生き抜いていかねばならぬこともわかる。また、アメリカとうまくやっていく――はある意味で日本の最優先テーマかもしれない。私は個人的にはアメリカという国は好きだ。しかしあくまで節度こそ不可欠。友好関係は保ちつつ、是は是非は非とする賢明で毅然とした国家関係を築かなければ大切な国家構造は蚕食されるだけだ。しかし現実はどうか。1990年冷戦が終焉し、アメリカの仮想敵国第一はソ連からアメリカが冷戦の勝者とみる日本へと変わる。そしてアメリカは日本に金融戦争を仕掛ける。日本は連戦連敗。金利ゼロの国など果たして世界に存在するのか。それさえ痛く感受できないほど日本人は痴呆状態に陥っているのか。

 それでも、日本は日米同盟を崩してはいけない。極論すれば、アメリカをも救い、人類を救い続けていく以外、この国の生き残る道はない。地球益と国益を統一して生きる世界唯一の国になる。そしてそれぞれの民族・国家地域の特性を尊重しつつ(たとえば日本は天皇制度を重視する等)、世界連邦達成を国家目標にする、と憲法に明記するのだ。

 だが、現状は、すべてをカネではかるマネーイズム。そして物質万能のマテリアリズム、マーケッティズムで埋め尽くされる日本。損得勘定しかなくなってしまっている日本人の価値判断力。知らぬ間に次々と毀損させられていく共同体。

 共同体を喪失するということは一体何を意味しよう。それは人間を根底から支える精神的実存、心の世界を液状化していってしまう。つまり人間というものの一番大切な「こころ」が育ちにくい社会になってしまう。青少年の無気力、ニート、衝動的暴力犯罪、自殺、殺人犯罪の多発。これらは決してこのことと関係なき時代事象とはいわせない。

 また、ロシアの世界への無原則な核拡散もあまりに危険だが、隣国中国は、世界中から資源をあまりにも乱暴にかき集める。支払はほとんど兵器。世界に兵器の大拡散が為されている。その他日本に対する国際法違反の数々。そして背筋まで凍りそうな憎悪心。それらに対しあまりに無関心、無知、無警戒な日本人。日本を中国に売る政治家さえ存在する始末だ。偏狭なナショナリズムには賛成しかねるが、健全なパトリオティズムの創造なくして、真のインターナショナリズムも世界の平和もあるまい。日本は本当に国家の生命に意志も哲学も国柄も見当たらない。

 日本はそれでも、中国の環境問題を救い、台湾をも救い、バングラ等苦悩にあえぐ国々の孤児ゼロ化に献身し、イスラエル・パレスチナ平和条約を締結するために汗を流すのだ。国防は、未来において絶対平和の達成を目指して、今はまず自主防衛を確立し、国際政治アナリスト伊藤貫氏等、先進的・知的良識が言うように核攻撃されない日本を創造し、アメリカに向かう核弾頭は太平洋上で撃ち落とし、真の日米イコール・パートナー関係を構築する。世界の平和の守護神日米、そして無私と国益追求の統一という超難題をクリアーする、本当の世界平和の創造主日本を目指すしかあるまい。世界一美しいモラリティ「日本」になっていくことだ。リアリスト・パラダイムも堅持しながら…。

 そこへもってきて、「地球環境問題」だ。地球崩壊は現実感を帯びてきてしまった。北極の白熊があと40〜50年で絶滅の危機に瀕しているが、暗に人類の未来を示唆しているようにも思える。今こそ、世界の最高技術を有する日本の本当の出番なのだ。(このまま温暖化がすすめば、あと10年以内で炭酸ガスハイドレード、メタンハイドレードなどの強力な温室効果ガスの大量発生が急激に加速し、人智では制御不可能になると指摘する学者もいます。)

 濤川平成塾は開塾16年目を迎えるが、この15年間政治家養成を目的とする塾ではないが、国会議員、地方議員、首長を輩出し、各界に有為な人材を送り出してきた。しかし人材育成だけが勝負対象ではない。常に時代・社会・世界を鋭く分析し、評論し、ある意味でのシンクタンクとして真実大切なものを発信し、日本国・地球益・世界益に良しとする社会運動、国民運動にもかかわってきた。あえていえば、

 

@  心意気として、小粒ではあるが世界一の校舎なき人間大学院をめざしたい

A  できうるかぎりの人材育成をしたい

B  知識を使いこなす智恵知恵の宝庫になりたい

C  生きる本当の喜びと癒しを提供できる場でありたい

D  知的刺激、情的、社会的、人間的、感性的刺激に溢れかえりたい

E  学ばずば卑し、の気風を国家社会に訴え続け、「学びの日本」をつくりたい

F  日本の国家戦略を創造するシンクタンク創設をめざしたい(国家戦略研究会議の活動が始まっている)

G  政治家育成も、使命感をもって強力にやらねばならぬ状況になってきた

H  世界のボランティア活動の先駆を切りたい

I  福沢諭吉のいう『立国は公に非ず私なり』の私を『日本』ととらえ、公を『世界・地球』と考え、行動してゆく

このような存在(レゾン)理由(デートル)を強く把持して前進したいと心から願っている。

 

追記

 日本の自由と民主主義は、三内丸山遺跡を考察しても、世界で最初に『デモクラシー』を創造したのは日本であることを忘れてはいけない。また日本にだけは、奴隷制は存在しなかった。

 

  平成19年7月7日

 

                     哲学者・教育学者・濤川平成塾塾長

                                濤川 栄太

 

  この〈濤川平成塾について〉は、平成4年の新・松下村塾開塾以来、数度にわたり改訂されていますが、濤川平成塾に改称直後のものを掲載致しました。

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